大手税理士法人でない限り、会計事務所の面接は普通1回限りです。

まさにワンチャンなのです
その面接ではどんなことを聞かれるのか不安に思っていませんか?
この記事はそんなあなたに向けて、会計事務所に面接に行くときの服装・持ち物から、面接で聞かれるであろう質問厳選16選を回答例を添えてご紹介します。
面接で特に大事なのは、面接官が最後に聞く「他に何か質問はありますか?」(通称:逆質問)です。
ここも無事にクリアできるよう、逆質問6つも載せておきました。
きっと参考になりますのでぜひ最後までお読みください!
- 会計事務所業界に勤めて干支ひとまわり以上の「中の人」
- 子どもが幼児のときに会計事務所業界に入った転職組(育児で頼れる人はおらずワンオペ育児を全力突破した)
- 巡った会計事務所は老舗から新規開業までさまざま。ブラック、ホワイト事務所も両方経験(ブラックは早々に逃げ出した)
- 所長を軸に考えると公認会計士、女性所長、2代目所長など個性豊かな所長と仕事してきた。
- 基本、残業をしないスタイルを貫きとおす(今も)
- 今では法人・個人・資産税(相続)全てをこなすマルチプレーヤーお局さん
- お客様を事務所に呼び出すことで人気を博す。通称:呼び出しのめいじ
- 移動時間をコストと考え、可能な限りコスパの良い仕事方法を常に考えている(残業したくない…)
面接時の服装・持ち物など

まずは面接時に臨む際の基本的なことを確認しておきましょう。
ヘアスタイル、服装
必ずフォーマルな服装で、清潔感のある印象を持ってもらえるか意識しましょう
- 髪色は地毛か濃い茶色くらいまでが好まれる傾向アリ
- インナーカラーなどは避けたほうが無難
- 長い髪の毛(肩につくくらい)はまとめておくこと
- 白髪は全然OK
- カラーも白髪染めも「プリン」はNG

お客さんのところに行くのにふさわしい恰好ができるかどうかを見られていますよ

白髪染めから時間が経った「白髪プリン」に無頓着な方が意外と多い!
必ずしもリクルートスーツでなくても大丈夫ですが、第一印象は絶対悪くしてはいけません。
- 無地か地味め柄のスーツ
- 白のワイシャツ
- 派手でない柄のネクタイ
- 革靴(磨いてから行ってください!)
- 無地か地味めのスーツ(パンツ・スカートどちらでもOK)
- 白、薄い水色、薄ピンクのブラウス
- 黒で低めのパンプス
男女ともに共通することはとにかく清潔感があること!
第一印象が悪いと、面接という短時間でひっくり返すことはほぼ不可能です
持ち物
最低限の持ち物は、
- 黒のカバン
- メモ帳(事前に逆質問を書いておくとGood)
- ボールペン
- 電卓(筆記テストがあると言われている場合)
- 腕時計(意外と大事!)

面接では「1分以内で自己紹介をしてください」などと言われることも。下のイラストのように腕時計が見られるようにしておいてね


「〇分以内に自己紹介をしてください」と言われて、腕時計を見ても失礼には当たらないから大丈夫!
相手の呼び方
意外とわからないのが相手の呼び方だと思います。

個人の会計事務所に対して御社って変じゃない?

変です!
- 個人の会計事務所なら「御事務所(おんじむしょ)」or「御所(おんしょ)」
- 税理法人なら「御社(おんしゃ)」
「おんじむしょ」は普段聞きなれない言葉ですが、会計事務所に対する正しい敬語表現として覚えておきましょう。
でも言いづらいので「おんしょ」がベターです

税理士法人に「おんしょ」を使ってもOK!
- 税理士(所長)は「先生」でOK
- 税理士でない人なら「面接官」と呼ぶのが無難
通常、面接は所長先生が行うことが多いので「先生」と呼ぶことが多いはずです。
たまに番頭さんや所長の奥さんが面接官になることも……。
面接での代表的な質問16選~回答例を添えて~

ここからは具体的に面接時に聞かれる代表的な質問16選と回答例をご紹介
自己紹介
面接の初手テッパンの質問「自己紹介をお願いします」
面接官によっては「30秒で」とか「1分以内で」など時間を指定されることも。

さりげなく準備しておいた腕時計で時間を計ってOKです
名前だけをいう自己紹介は✕。簡単に前職の仕事内容やポジション、役割などをまとめましょう。
最後は「本日はよろしくお願いしたします」で締めます。
絶対に言われると肝に銘じて、1分以内で話せるように練習してください!
〇〇と申します。△△大学を卒業後は◇◇社に入社し、現在経理課員として✕✕年目です。現職での仕事内容は、日々の売掛金管理や、仕入れ・原価計算を含めた経理処理一般を担っております。またアルバイトやパートの給与計算も一部担当しています。本日はよろしくお願いいたします。
これまでの経歴を教えてください
職務経歴書を端的にまとめるイメージで回答しましょう

つまり社歴が2社あるなら2社とも職務経歴を答えます

未経験者なら税理士業界につながりそうなスキルがあるとなおGOOD
話し過ぎないように注意、また、脱線しないようにも要注意!
現職である〇〇社では営業職として◇年従事しています。具体的には、既存顧客のフォローや新規営業開拓です。営業ノルマにおいては1年通して達成しており、また新規顧客もこの1年で△件獲得しました。
現職では経営者層にアプローチする機会が多く、彼らと数字を通して会話できる嬉しさを見出しました。
これまでの仕事での実績を教えてください
アピールチャンス到来!
応募事務所で活かせるエピソードがあると良いでしょう。プロセス、結果、自己評価、他者からの評価などをまとめます。
具体性を持たせるには数値を根拠にするのがポイント
現職である〇〇社の商品は□□万円以上のため、営業マンは最終的に経営層へのアプローチが必要になります。
商品がどんな成果をもたらす可能性があるのかを論理的に説明するための資料をパワーポイントで作成しました。経営層の方々から「わかりやすい」と評価を頂き、この資料を使った最終プレゼンの成果は契約率◇%を超えました。
営業効果が高いと社内でも認められたため、その資料は今では課の共有資料として活躍しています。
今の事務所を辞めたい理由はなんですか?
特に会計事務所から会計事務所への転職の場合によく聞かれます。
前事務所の不満を口にするのは絶対NG!前向きな理由を!
現事務所では法人・個人の税務担当者として〇社、青色申告の個人事業主さんは△人担当しています。
事務所にも、お客様方にも本当に良くして頂いていますが、資産税を実務で学びたいと考えていました。
これまで転職について考えてきませんでしたが、資産税の担当者を募集している御所の募集を拝見し「今しかない」思いが高鳴りました。
御所へ入所できるのなら現事務所の退職もやむを得ないと思っています。
税理士業界に興味をもったのはなぜですか?
他業界からの転職組に対してはこの質問がされます。

割と純粋に「こんなマイナーな税理士業界のことをどうして知ったんだろう?」と思っていたりします

正直に答えてOK!どうしてあなたは税理士業界に興味を持ったのですか?
実は私が税理士業界に興味を持ったのは、話が大学時代にまで遡ります。ゼミを担当してくださった教授が現役の税理士で、たくさんお話を聞かせていただいことから興味をもちました。
教授は税理士が「企業のかかりつけ医」として非常にやりがいのある仕事であることや、女性税理士も多く活躍している業界であることを教えてくださったのです。
なぜ税理士になろうと思ったのですか?
税理士受験生がよく聞かれる質問です。
具体的なキッカケを正直に答えてOK
〇年前、手に職をつけようといろいろな資格・業界研究をしていました。その中で税理士は「ダイレクトにお客様の役に立てる」仕事だと知りました。
私は昔から「人に頼られること」に対して魅力を感じる傾向にあります。税理士という仕事の、お客様に直接関わり、頼られ、お役に立てる点に非常に魅力を感じて税理士になろうと決意しました。
税理士資格が取れたら何年で独立開業したいと考えますか?
これはけっこうな釣り質問です

「独立する」前提の聞き方をしています
できれば独立はしてほしくない。顧客をもっていくようなことは絶対してほしくない。
「絶対独立するんだ!!」と心に決めているのでなければ、オブラートに包んだ回答が良いでしょう
正直にいうと、今のところ独立開業についてはあまり考えが及んでいません。
自分が経営に向いているかどうかもわかりませんし、そもそも税理士試験に受かるかどうか(笑)
今は何より税理士試験の突破に全力投球していきたいと思っています。
志望動機を聞かせてください
こちらも面接時のテッパン質問です

絶対事前準備をしていきましょうね
家が近いなどの理由は✕。その事務所でなければならない理由があればベストです。
なければ職員さんという仕事に対して魅力を感じたことを具体的に!

志望動機を考えるためにも募集要項や募集ページ、HPは絶対、くまなくチェック!!
御所のHPを拝見したとき「お客様の最適な経営パートナーになる」というキャッチフレーズに魅かれました。また、そのために職員に対する研修に力を入れていらっしゃる点にも魅力を感じて御所を志望しました。
孤独だと言われる経営者の方々が迷ったとき、悩んだときにまず声を掛けてもらえるような人材になるのが私の目標です。お客様のすぐ近くで、税務サービスはもちろん経営についてアドバイスが提供できる、そんな職員を目指せるのは御所しかない、と思っています。
あなたの短所を教えてください
ポイントは短所をそのまま言わないこと。上手に言い換えましょう
私は好奇心が旺盛で、興味を持ったことに関してはまずはやってみるようにしています。
いろいろなことにチャレンジするので、それが飽きっぽい性格だと見られてしまうことがあります。それが短所でしょうか。
ただこの好奇心旺盛な部分があるからこそ、新しいことに対して抵抗がなく、新しいスキルを取得する原動力でもあると思っています。
失敗談を教えてください
面接官が大好きな質問。
「学習能力」と「成長意欲」それから「リカバリー力」を知りたいと思っています。失敗するのは当たり前、次に活かそうとする、気をつけようとする意欲の高さを押しはかられる質問ですね。
以前の職場での話ですが、2つのプロジェクトを同時に担当していました。
このときにプロジェクトの優先順位を見誤り、危うく優先順位が高いAプロジェクトの納期が遅れそうになるという失敗がありました。
しかし本当にギリギリのタイミングで、仕事を手伝ってくれていた同僚が「仕様変更によりAプロジェクトに必要な商品に納期遅れが発生しがちである。」と教えてくれたのです。
すぐに発注先に納期の再確認を行い、優先順位が高いことを伝えて、幸い納期に間に合わせてもらうことができました。
2つのプロジェクトを同時進行することにこだわり、発注した商品の納期について、特に進行確認をしていなかった自分の失敗でした。何もかも自分でやろうという思いが強かったことも良くなかったと思います。
このときから発注先にも優先順位の共有を行い、また、何事も自分でやろうとせずに、他のプロジェクトメンバーにもダブルチェックをしてもらうようにしています。
入社後の目標はありますか?
意気込みが問われてます!具体的な目標設定を考えておきましょう。
まずは所内メンバーとコミュニケーションをとって、早く馴染みたいと思います。
1年後には、先生方、先輩方に安心して仕事を任せてもらえる担当者になっていることが目標です。
3年後には、新入社員の育成に携われるようなマネージャー候補になり、そして5年後には御所に「不可欠だ」と言われる人材になっていきたいです。
パソコンやインターネットに苦手意識はありますか?
会計事務所はPC作業が多く、エクセルやワードでの資料作成あります。
加えてフィンテックや電子帳簿保存法への対応などIT化の波は会計事務所にも押し寄せてきています。
しかし、苦手意識さえなければ詳しくなくてもOKですよ
- 現職でも、プライベートでもパソコンを使っていますので、苦手意識は特にありません。
- 現職では仕事上パソコンを使うことはあまりないのですが、苦手意識はありません。実は、基礎的なことを学ぶためにMOS(Microsoft Office Specialist)の勉強をしていますので、業務上で必要な操作はできるようになっています。
他社へも応募していますか?
詳細な社名は伏せたうえで正直に答えてOK!
ただ、関係ない職種(営業、SEなど)への応募はマイナス印象を持たれがちです。就活も一貫性が欲しい。
税理士法人1社と税理士事務所2社を受けています。
残業は大丈夫ですか?
ここは絶対正直に答えましょう!

変に「残業OK」を出して、入社後のミスマッチは絶対に避けたい……
残業NGの場合は、「税理士試験予備校への通学がある」「家庭の都合がある」など理由を正直にお話してください。
ただ、絶対確認したいのは「いつ」残業をしてほしいのでしょうか?繁忙期のことを言っているのかも。

この質問があったからと言ってブラック認定ではないです
「残業が絶対無理」というわけではありませんが、税理士試験を真剣に突破していきたいので、可能な限り勉強時間を確保したい思いはあります。現在は〇曜日の△時から予備校の講義もあります。
質問に質問でお返ししてしまうのは大変恐縮なのですが、ちなみに他の職員さんは繁忙期、閑散期でそれぞれ月間どのくらい残業されていらっしゃるのでしょうか?
その他
履歴書や職務経歴書に気になる点がある場合です。
例えば「留年した理由」や「職歴にブランク(3ヶ月程度以上)がある理由」「転職回数が多い理由」など

あなたが聞かれたくないと思っていることは必ず聞かれます
回答はネガティブにならないように、ポジティブ変換をして答えられるように準備しましょう。
職歴に6ヶ月のブランクがあるのはなぜですか→簿記の勉強をしておりました。この期間、失業手当を受給しながら簿記の学校に通い2級を取得しています。
他に何か質問はありますか?(逆質問)
志望する気持ちが、熱意が伝わる質問がいいですね。
必ず2-3点は逆質問するように心がけてください。

1つか2つは事前に考えておいて、持参するメモ帳に書いておきます
次からは面接官に「おっ!」と思わせる逆質問例を取り上げましょう
面接官に「おっ!」と思わせる逆質問

実は逆質問は面接官に「おっ!」と思ってもらえる可能性が高いものの、逆に相手を萎えさせてしまうこともある危険も大きくはらんでいる点に要注意です。
- お給料など待遇面のことばかり聞く
- 事務所のHPに載っていることを聞く
- 今までの会話で出てきたことを聞く
面接中は適宜メモを取り、逆質問に備えましょう。
面接中は緊張もあって思いつかなったよ!って方も、以下の逆質問例をいくつかピックアップしてメモ帳に書いて手元に持って行ってください。
きっと1つくらい「おっ!」と思ってもらえるものがありますよ
入社の前に準備しておけることはありますか?
テッパンの逆質問
面接官にとっては「また来たな」と思っています(でも印象は悪くない)
だから面接官もきっと回答を準備しているので、とりあえず聞いておきましょう。

ボクシングでいうところのジャブです
「国税庁のHPに、インボイスについてのパンフレットがあるから読んでおいてください」とかね。
入社後はどなたについて業務を学ぶのでしょうか?
誰か特定の人(番頭さんやお局さん)に仕事を教えてもらうのか、
退職される方から仕事を引き継ぐのか、
自分がどのポジションで仕事をしていくのか聞く質問です。
税理士受験生の方は仕事と勉強をどのように両立していらっしゃるのでしょうか?
税理士受験生にとっては、絶対聞くべき逆質問です。
「税理士の勉強はできますか?」はNG!

雇う側からすればあなたを勉強させるために雇うわけではないのです
この逆質問が秀逸なのは、他の税理士受験生方を隠し蓑にしながら「仕事を優先にしつつ、勉強もしたい。実際にやっている人がいるか」を尋ねている点です。
どのようなお客様が多いですか?
特定の業種が多いのか、いろんな業種が多いのか。
法人が多いのか、個人事業主が多いのか。
相続税の仕事はあるのか、ほとんどないのか。

あなたがやりたい仕事内容とマッチしていますか?
御所で欠かせないと言ってもらえる人材になりたいです。今 活躍していらっしゃる方々に共通点は何かありますか?
面接は通常、所長先生やその奥さんが面接官になることが多いのです。

実際に一緒に仕事をするであろう、所内の人たちの様子をなんとかかんとか聞いておきたいところ
「スポーツ好きが多い」などであれば体育会系の雰囲気かもしれませんね。
先生(面接官)オススメの本を何か1冊教えてください
「あなたに興味を持っています」と暗に伝える、ちょっとあざとい質問です。

でも正直、抜群にウケが良くなります
難しい試験を突破し、毎年変わる税法に対処しなければならない日常がそうさせるのか、税理士には読書家がとても多い!
「本棚をみたら人柄がわかる」と言われるくらいです。ぜひ面接官の人柄を知るためにも聞いてみてください。
【絶対攻略】会計事務所の面接 まとめ
会計事務所での面接時の服装・持ち物から、自己紹介・志望動機など一般企業でも聞かれそうなこと、さらに税理士業界特有の質問も含めて、代表的な質問例16選を回答例を添えてご紹介しました。
その中でも大事な「逆質問」については、さらに掘り下げた回答の仕方もご紹介しました。
面接においてとことん大事なことは結局事前準備です!
相手(応募先事務所)のことも、自分のことも深く掘り下げて考えないといけません。
私がいつも転職エージェントをオススメするのは、面接の際に必要なことについても一緒に考えてくれる担当者がついてくれるからです。

しかも求職者はお金が掛かりません。内定を辞退したってタダです
この記事がどうかあなたのお役に立ちますように、願っています。
今日はここまで!
またね~
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