簿記や経理に興味を持って転職を考えたときに、
会計事務所で職員さんとして働くことと、一般企業の経理職として働くことの違い……
なんとなくわかるようでわからないですよね。
簿記を駆使して「会計ソフトに仕訳を入力する。帳簿を作る。」という仕事は同じ。
でも経理や会計は「仕訳さえ入れればOK!」というわけではありません。
では、どんなところが違うのでしょう?
この記事では、職員さんと一般企業の経理の違いをひとつひとつお答えしていきます。
具体的には
- 仕事内容
- 求められるスキル
- キャリアプラン(目指せるポジション)
- 年収
をそれぞれ比較していきながら説明しますね。
答えだけ先に一言でそれぞれのお仕事をお伝えすると、
- 職員さんは、会計・税務のこと何でもできるゼネラリスト
業種問わず、会計・税務のことを広く網羅する人。特に税務には深い知識が必要
- 企業経理は、自社のスペシャリスト
自社の経理を狭く深ーく極める人
です。
【仕事内容編】職員さんと企業経理で最も違う部分
まず職員さんと経理で最も違うのはお仕事の内容です。
- 会計事務所に所属する職員さん
- 企業に所属する経理
立場が違うのでそれぞれにお仕事の範囲・内容が違ってきます。
職員さんの仕事内容
会計事務所の職員さんは、ありとあらゆる業種の経理・会計・税務に携わることになります。
- 駄菓子屋さん(小売り業)
- カフェ(飲食業)
- 町工場(製造業)
- クリニック(医業)
- IT関係(サービス業)などなど。
商売あるところ確定申告ありですから、どんな業種であってもお客様になりえます。
そして、お客様の会計・税務を外部の人間として関わることになるのです。
社長が従業員には相談しにくい、経営やお金のことを唯一相談できる相手であることも。
経営のことはもちろん、ちょっとしたグチだったり、プライベートのことだったり、従業員の立場ではありえないであろうお話を聞いたりします。
未経験で入職しても、お客様からすれば「会計のプロ」扱い。
テーマは「どんな業種にも対応できるよう、広く深く会計も税務もわかる人であれ」
- 会計ソフトへの入力
- 入力された帳簿のチェック
- 税務申告書類の作成
- 給与計算 ※勤怠管理はないことがほとんど
企業経理の仕事内容
では、次に企業経理のお仕事をみていきましょう。
企業経理のテーマは「自社のことだけを狭く、深ーく極めるべし」
仕訳の仕方や資料の作成方法などは、実は会社によってけっこうオリジナルだったりします。
自社独自のルールを把握することがとっても大事!
大きな会社であれば分業制が進んでいて、自分が目にする書類は特定のものだけということもあります。
逆に小さな会社だと、経理のみならず人事や総務、営業事務的な仕事を求められることも少なくありません。
- 請求書発行
- 入金管理
- 現金の管理
- 会計ソフトへの仕訳入力
- 月次決算、年次決算
- 給与計算
- 勤怠管理
- 年末調整
中小企業ならさらに…
- 社会保険加入、脱退の手続き
- 営業サポート
【求められるスキル・知識編】職員さんと企業経理では何が違う?
仕事内容が違えば求められるスキルも違ってきますが、共通することもあります。
それは、
- 基本的なPCスキル
- コミュニケーションスキル
は必須ということ!
現在では会計帳簿はPCで会計ソフトを使って作成するものですから、PCの基本的なことやエクセル・ワードくらいは使えて欲しいところ。
精通してなくても大丈夫。あくまで基本的なPCスキルにゃ
そしてコミュニケーションスキル
帳簿を作成するときに、
「この入金は何か?」
「この支払いが何であるか?(固定資産の購入、修繕、消耗品購入etc)」
こんな疑問がよく出てきますが、疑問は現場に聞かないとわかりません。
職員さんも、企業の経理も
「不明点は現場・担当部署に確認するコミュニケーション」は嫌がらずできることが必須です。
職員さんに求められるスキル・知識
では、職員さんに求められるスキルとは?
前述の
- PCスキル
- コミュニケーションスキル
に加えて、
- 簿記3級がないと「会話ができない」し、
- 簿記2級は「あると、やっぱり望ましい」
です。
会計事務所内では会話の中で仕訳が出てくることが多い!
そして
- 税理士試験の科目合格
があると喜ばれます。
特に消費税、それから法人税or所得税知っていたら理想的!
逆に仕訳のスキルは簿記2級で十分かも……
企業経理に求められるスキル・知識
次に、企業の経理職に求められるスキルとは?
- PCスキル
- コミュニケーションスキル
を筆頭に、もし自社が「製造業」なら
- 簿記2級
は必須スキルになるでしょう。
簿記2級では工業簿記も学ぶにゃ
工業簿記?
製品の原価計算を行うための簿記だよ。製造業では必ず出てくるの
加えて会計や税務全体のいろいろを知るというよりは、自社に対する知識がとても大事
自社の業界における地位とか、他社にない優位性とか、強み・弱みなどなど。
経営戦略を練るときに、まずは自社がどんな位置にいるかわからないと始まりません。
さらに、自社が中小企業なら、給料計算のために社会保険の知識も必要(入社、退社、休職、育休ほか)になってきます。
【キャリアプラン編】職員さんと企業経理でどう違う?
キャリアプランとは、自分が将来どんな仕事をして、どんな立場に立ち、どんな働き方をしていくのか?を明確に打ち立てることです。
100人いれば100通りあって当然のことですが、職員さんと企業の経理で例えばどんなキャリアプランがあるのでしょうか?
ひとつのモデルケースとして考えてみましょう!
職員さんのキャリアプラン
職員さんのキャリアプランの王道は、何はともあれ「税理士」になること!
税理士になることを目標に会計業界に飛び込む人も多いのですから、当然の結果ですね。
では、税理士になった後はどうするのか?
- 会計事務所や税理士法人のパートナー税理士として働く
- 税理士として独立開業する
が最も多いパターンです。
しかし、中小零細企業が多い会計業界にいるよりも、リスクをとって独立するよりも、
- 大手企業の企業内税理士として働く!
というキャリアプランを望む方も最近は多くなってきました。
「Fラン大学卒の自分が大手企業に入れたのは税理士資格があったから」と言っている企業内税理士さんもいるにゃ
誤解しないでくださいね!
「税理士にならない」というキャリアプランももちろんアリです。
そのときは、
- 会計事務所で現場監督的な立場で重宝されながら働く
- 企業経理に転職する
などがあります。
企業経理への転職は会計事務所出身者だと飛躍的に年収が上がることが多く、ときに管理職のポジションを提示されることもあり、自分の市場価値の意外な高さに驚くこともあります(経験談)
だからホワイト会計事務所に3~5年勤めてからキャリアプランを考えるとすごくいい!
ただし、税理士資格をもたない職員さんが上場企業に転職は難しいかも。それでも大手企業や優良な中小企業からのオファーはたくさんあるにゃ
企業経理のキャリアプラン
企業経理の一般的なキャリアプランは、
- 一般社員として入社
- 経理課の主任・課長へ昇進
- 経理部長へ昇進
- 最終的にはCFO(財務最高責任者)
でしょう。
ときには自社での昇進ではなく、転職によってその地位を得る方も多いですね。
中小企業でスキルを磨いて人脈を広げて、大手企業に経理部長 or CFOとして引き抜きかれる、とかにゃ
【年収編】収入面での職員さんと企業経理の違い
役職をもたない一般職員&経理課員で考えると、年収が高いのは企業経理です。
しかも、会計事務所は繁忙期があり、その時期に残業代がはね上がる傾向が強く、この時期の残業代が年収を引き上げている面も。
残業なしの基本給ベースで考えると、会計事務所は一歩も二歩も年収が低い傾向です。
会計事務所・税理士法人の年収
目安を示すと……
- 一般職員さん:300~500万円
- 有資格者:500~700万円
- パートナー税理士:700~1,000万円
未経験だと、月給20万円+ボーナス2ヶ月分+残業代で300万円スタートが目安にゃ
繁忙期には残業が必要になる事務所も多い!
だから必ず残業代が出る事務所を探しましょうね。
企業経理の年収
基本給は会計事務所と大きく変わらない印象ですが、各種手当がついたり、ボーナスが3~4ヶ月分あったりと年収面では企業経理に軍配があがりそうです。
- 新入社員~3年目:300~400万円
- 主任クラス:400~600万円
- 管理職:600~800万円
- CFO(最高財務責任者):1,000万円~
年収だけでなく、昼食費補助などの福利厚生が充実しているのも企業経理の方です。
しかし、企業経理は自社内での昇進が頭打ちになると、年収が上がりづらくなる点に要注意!
頭打ちだな、と感じたら転職を検討することも必要になってくるでしょう。
【まとめ】職員さんと経理の違い
一般的に違いがよくわからないと言われる、職員さんと企業経理の違いをみてきました。
仕事内容や求められるスキル、キャリアプランに年収まで、意外と違いがあったのではないでしょうか。
職員さんは、会計・税務のことが何でもできるゼネラリスト
企業経理は、自社のスペシャリスト
をそれぞれ目指してお仕事しています!
あなたの疑問が解決されたらこんなに嬉しいことはありません。
今日はここまで!
またね~
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