会計事務所や税理士事務所でパートやアルバイトとして働いてみたいな、とちょっと思ったあなた。
不安なこと、たくさんありますよね。
「主婦のパート先として会計事務所はありかなしか」
「簿記は多少知っているけど、会計とか税務の知識は全然ないけど大丈夫かな」
「入ったはいいけど、仕事についていけない!ってなったらどうしよう」
「40代 未経験だけど、いまから入職はきついのかな」
全然知らない業界すぎて、志望動機や自己PRどうしよう!
未経験でまったく知らない業界に飛び込むことはとっても怖いこと!
でも、会計事務所・税理士事務所でのお仕事ってけっこう魅力があると思いませんか?
- 土日出勤がない!
- 体力的にきつくない
- 客層が良い(基本的に特定のお客様と長く付き合う業界)
- 専門知識が身につく?
ざっと挙げただけでこれだけのメリットがあります。
この記事では会計事務所にパートとして勤務するうえで知っておいてほしいメリット・デメリット、想定される仕事内容や時給、さらには履歴書に書く志望動機や面接で聞いておくべきことまですべてご紹介します!
これから同じ業界で働くあなたの、会計事務所探しの一助となりますように。
パート・アルバイト勤務のメリットとデメリット
まずは会計事務所で働くうえでのメリット・デメリットをそれぞれみていきましょう。
ここメリットだよね!と思うパートさんたちの働き方をご案内しますね。
メリット
平日勤務(シフト制ではない)
会計事務所は平日の9時から18時頃を営業時間としていることが多いため、例えば小売店さんのように土日に出勤できないことを気に病む必要がまったくありません
そのうえで「週3日 10時~16時」など契約次第で自分にあった働き方ができます。
しかも「月・火・木出勤の契約だけど、この週はちょっと用事があって木曜ではなく金曜に出勤したい」こんな柔軟な働き方をOKとし、パートさんの勤務をシフト制にしていない事務所が多いのです。
逆に出勤日をズラしてもらいたいってお願いをされることもあるにゃん
例えば【お給料計算がある場合】15日締めの会社さんがあるなら、翌16日は何曜日であっても出勤してもらいたいのです
持ちつ持たれつの関係だからこそ「木曜日は授業参観なので金曜日に出勤します!」も全然OKと言ってもらえるにゃん
体力的にハードでない仕事内容
基本的にデスクワークが多い税理士業界で体力的にハードなことはほとんどありません。強いて言うならコピー用紙が箱で届いたときに動かすくらいでしょうか
コピー用紙も持ち上げて運ぶようなことはせず、引きずればいいんです
内勤のパートさんであれば外出があってもお使い(税務署、市役所、法務局、郵便局など)程度で、体力的にきついようなことはないでしょう。
不特定多数のお客様を相手にしなくても良い
会計事務所では不特定多数のお客様を相手にすることはほとんどありません。
会計事務所のお客様は長年のお付き合いであることが多く、さらにパートさんであれば「そもそもお客様対応は電話の取次ぎ、来所時の応接室へのご案内」程度。
今話題のカスハラ(カスタマーハラスメント)が起こる可能性はかなり低いです。
顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為
引用:厚生労働省
お客様から「正当な」クレームがないように、キチンとした対応は必要にゃん
もちろん例外があって、単発のお客様が多い資産税(贈与とか相続とか)をメインにしている事務所だとお客様とのお付き合いは短くなりがち
専門知識を習得できる
会計事務所に勤務していれば、個人の確定申告や法人の帳簿、決算手続きの流れなど多くの専門用語に触れる機会が多くなり、専門知識が習得できることもメリットのひとつです
もちろん、自分で勉強する意識が1番大事ですけどね
簿記で学んだ知識がどう申告書に反映されていくのか、税がどんな構造になっているのか、今まで知っているようで知らなかった会計の世界……深くて楽しいですよ!
知り合いにはパートとして税理士業界に入って、会計の世界に目覚めて、40代で税理士を目指し始めて最終的に資格をとっちゃったツワモノもいるにゃん
デメリット
ここからは会計事務所でパート・アルバイトとして働くデメリットを考えてみます。
実際「ついていけない」とか「税理士業界は大変」とか「きつい」「つらい」という意見も聞きますね。
限られたキャリアアップ
税務は期限内申告が必須です。
期限内に申告できなければ大問題!大クレーム!顧問解除もありえるにゃん
パートさんが限りある時間内で働いている以上、どうしても税理士・職員さんたちのサブ的な立場にいます。
だからキャリアアップの望むのは難しい……と言わざるを得ません
ただキャリアアップが無理!というわけではありません。キャリアアップを望むなら、自らの意思表示と強い信念が必要だということです
毎年変わる税制
税務は毎年のように改正があり、常に知識のブラッシュアップが必須です
税理士はもちろん、そこで働く職員さんも同じように新しい知識を取り入れていかなければならないのです
最近でいうと「定額減税」とか「インボイス」とかが新しい税務の知識にゃん
税理士や職員さんたちは忙しい業務の合間をぬって研修に行ったり、本を読んだりして新しい知識を取り入れていくわけですが、パートさんたちにはなかなかそこまでのフォローができないのが現実です。
だから毎年変わる税制に「この業界って大変」「ついていけない」気持ちになる人も多いのでしょう。
密度が濃くなりがちな人間関係
会計事務所は日本中どこにでもたくさんある業種ですが、実は事務所ひとつひとつで働く人はそんなに多くありません
- 個人税理士事務所:1人~5人
- 小規模税理士法人:~10人
- 中堅税理法人:~30人
- 大手税理士法人:~100人以上!
業界全体でいうと、1.や2.の事務所で全体の7~8割にのぼります。何百人もの人が在籍する大手税理士法人なんて本当にごく少数なのです
街の会計事務所は10人以下で働いているケースがほとんどのため、少ない人数で働いていれば当然人間関係の密度は濃くなりがち……
会計事務所での勤務が「きつい」「大変」「つらい」と言われる一番の要因がこの点です。
だからこそパート先を選ぶときは、こちらも厳選を重ねるにゃん!
「会計事務所はやめた方がいい」について忖度なしの本当のトコロを語った記事はこちらです
パート・アルバイトの仕事内容
では実際にパートやアルバイトの仕事内容をみていきます。
ここでは「内勤、簿記3級保持」のパートさんをイメージしていますが、契約内容によっては外勤があったりと大きく異なる可能性もある点はご注意くださいね。
未経験者の仕事内容
未経験パートさんのお仕事はまず庶務・雑務から始まります。
- 来所客のご案内
- お茶出し
- 電話対応
- お預かりした書類の整理整頓
- お客様返却用税務書類の控え作成
- 書類のファイリングなどなど
庶務・雑務は普通の会社の営業事務と変わらないでしょう。
お仕事に慣れてきたら徐々に会計ソフトの入力作業が入っていくイメージです。
会計事務所でメインになっているお仕事のひとつ「記帳代行」にゃん
先輩パートさんか正社員の職員さんかの下でお仕事をしていくので、報連相を意識しながら進めていきましょうね
経験者の仕事内容
経験者とはすなわち(法人、個人の)税務書類がわかり、申告書をひととおり作成できる程度の知識がある人を指します。
そんな経験者にお任せするのは、会計ソフトへの入力部分だけに留まりません
- 事務所内の庶務、雑務
- 会計ソフトへの入力(記帳代行)
- 記帳代行と並行して、証憑書類・インボイスが揃っているかの確認
インボイス制度が始まって以降、記帳代行は格段に複雑で難しくなりました。単純に簿記の知識だけではまったく歯が立たなくなったのです。
普段見ているレシートが「なんか表記が細かくなったなぁ?」って思いませんか?あれ、インボイス制度がスタートしたからなんです
インボイス制度を踏まえたうえでの記帳代行から、インボイスがない場合の具体的な対応までお願いされるのは経験者ならでは。
所長や職員さんのチェックは必ず入るので、訂正やミスがないように作業できることが求められます。そういう意味では未経験者の方よりプレッシャーが大きいかもしれませんね。
それでも記帳代行の即戦力!として多いに期待されているのが経験者のパートさんです。
めいじの事務所では「経験者のパートさんが入社してくれる」と報告があったときは拍手が起きたよ(ホント)
そして経験者のパートさんにはもうワンステップ上がって、外勤(お客様訪問)や担当を持ってもらいたいとお願いする事務所もあるようです。
そうなると仕事の責任やハードさは格段に上がるので、外勤があるかどうかなどは必ず確認しましょうね!
未経験者はついていけないのか?
「仕事についていけないかも」の不安は、特に未経験であればつきまといますよね。
でも大丈夫!未経験者は仕事についていけないのか?の疑問には、明確にNO!と言えます。
パートさんの職員さんに最も大事なのはコミュニケーション能力!
普段からコミュニケーションが取れていれば疑問点があっても聞きやすいですし、仕事の途中で帰らなくてはいけなくなったとき(中途半端な状態で終業時間になっちゃった!とかお子さんの体調不良で呼び出された!など)も、周りの職員さんたちとコミュニケーションが取れていればイヤな顔をされることもありません。
未経験者のパートさんに求められるのは、頼まれた仕事をキチンとこなせるか、わからないことを聞けるか、コミュニケーションがとれるか、にゃん
税務の世界には期限があり、申告期限を守ることが最低で最大の条件。事務所内では所長も職員さんもいつも期限を意識しながら仕事しています。
だからパートさんも申告期限や事務所全体のスケジュール感を持ってもらえたら喜ばれますよ。
パートさんのスケジュール感と事務所のスケジュール感とは少しちがう点にご注意!
未経験者だからついていけない、なんてことはないのが会計事務所のパートさんです。
会計事務所パート・アルバイトの時給
働くなら時給も大事な要素のひとつ!
正直にお話すると、会計事務所はお世辞にも時給が良いとは言えない業界です。
個人事務所(つまり個人事業主)が大半を占める税理士業界は、中小どころか零細企業の集まりです。
だからかお給料にはシビアな事務所が多い!
零細企業ではあるけれど、しっかり顧客がついていて経営は安定している事務所が多い、優良業界でもあるにゃん
相場感
会計事務所の時給相場は最低賃金が目安になります。
つまり2024年10月改定でいうと951円~1,163円、全国平均1,055円です。
※厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」より
未経験者の時給
未経験の方は最低ラインからのスタートとなります。
まずは都道府県の最低時給を提示される、と思って間違いありません。
経験者の時給
実は経験者の方も最低時給からスタートすることがあります。
試用期間(3ヶ月程度が多い)は最低時給でいてもらって、本当に経験者なのか見極める……慎重派の事務所も少なくありません。
雇用契約である以上、時給を上げることは簡単だけど下げることはよっぽど難しいからにゃん
明らかに経験者(正社員として数年勤務実績があるとか)は最初から、経験者時給のケースもありますが、その場合でも最低時給プラス100円くらいが目安になります。
時給としてはやっぱり高くないですよね
会計事務所を選ぶポイント
会計事務所を選ぶポイントは人によって全然違うでしょう。
曜日、時間、勤務地、時給、仕事内容etc……
会計事務所に先に勤めている先輩として押さえておきたいポイントをご紹介しますので、あなたの譲れないポイントを考えながら一緒に検討してください。
所長の人柄
自分の雇い主として、上司として、所長の人柄も大事なポイントです。
年齢、性別、パートさんに期待すること、仕事に対するモチベーションなど。
意外と大事なことにケチかどうかにゃん。経営者としてザルのような金銭感覚も困るけれど、ケチすぎるのも困りもの。いつまで経っても最低時給から上げてくれない、経費にシビアすぎる、なんてことも……
事務所のホームページやSNS、面接時の対応などをじっくり観察してください。
でも入職してしまうと意外と関わる機会が少ない人でもあります。本当は一緒に仕事をする職員さんに会えると一番良いのですが。
働く環境・条件は絶対確認!
働く環境・条件は絶対に面接で確認しましょう。
未経験の場合は入力作業はパートさんが行い、顧客対応は社員が対応するなど、業務分担がはっきりわかれている方がいいでしょう。
- 庶務や雑務の有無(電話応対、お茶出し、掃除があるか)
- 内勤なのか、外勤もあるのか
- パートはサポート業務のみなのか、担当を持つのか
- 緊急時のリモートワークが可能か(経験者なら可能なことも)
掃除などの雑務は事務所の保有状況に左右されがちです
- 自社ビル→事務所の内外掃除はもちろんトイレ掃除も必要
- 賃貸ビル→事務所内だけの掃除でOK ※トイレ掃除や給湯室の掃除はない
掃除だけで言えば、都会にありがちな賃貸ビルの事務所がいいかもしれません。しかし、自社ビル保有の自宅から近い事務所であれば通勤時間的に便利ですし、車通勤OKであればなお魅力的かもしれませんね。
何を優先するかはあなた自身ですが、気になることの確認だけはしておきましょう
服装・服務規程(意外と大事)
会計事務所でパートとしして働くのであれば、ランニングコストとして服装は大事な要素のひとつになります。事務所によって服務規程がさまざまだからです。
- 法人のお客様が多く「ジャケットマスト」
- 「オフィスカジュアル」で十分
- お客さまに会わない日などは「デニムOK」
- 制服あり(意外と少ない)
男性はスーツ着用、女性は2.「オフィスカジュアル」が一番多いのですが、めいじが勤めたところにも3.デニムOKの事務所も確かに存在しました。
スーツもジャケットもブラウスも季節によって変えないといけないので、服装に関するコストはけっこう大事
会計事務所にパートとして入職するまでの道すじと記載例
パートさんが会計事務所に入職するまでの道すじは書類選考→面接1回が最多ケースです。
会計事務所に勤務するうえでは簿記の必要性をおさえておかなくてはなりません。
ときどき「資格不要」を謳っている事務所もありますが、現実的には簿記の知識がないと勤めるのは大変です。
必ずしも「簿記3級」を持っていないとダメというわけではありませんが、少なくとも「勉強中」でないとつらいと心得ておいてください。
求人の探し方
ハローワークや地元のフリーペーパーでも税理士事務所の求人を見つけることもできます。
しかし、ハローワークで求人を探すことはオススメしません。
ハローワークは無料で出せる求人媒体。「タダだから」「とりあえず」「良い人がいたら」で求人を出しいる事務所もけっこうあるにゃん
キチンとお金を出して求人活動をしている事務所の方が本気度が高いのは当然です。
【書類選考】採用に有利な条件
書類選考で採用に有利な条件を4つ挙げておきます
- 税理士事務所での勤務経験
- 日商簿記3級(必須としている事務所も)
- 日商簿記2級(あると望ましい)
- 事務経験
会計事務所での勤務経験があると最も喜ばれますが、普通の会社での事務経験も有利な経験と見てもらえます
【書類選考】志望動機 ※例文あり
履歴書に記載する「志望動機」を難しいと感じる方も多いのでは?特に業界未経験だと何を書いて良いのやらさっぱり思いつかないとの声も。
未経験者か経験者かでポイントは異なりますが、ポイントを踏まえたうえでご自身の言葉で書いてくださいね。
未経験者の場合
未経験者からの応募があった場合、税理士業界に興味を持った理由を知りたいと思うものです。
面接でも「興味を持ったきっかけ」「税理士業界のイメージ」などはけっこう聞かれます。
興味を持った理由をそのまま志望動機にしてしまいしょう。
- どうして会計事務所で働こうと思ったか(具体的なエピソードを添えられるとGOOD)
- 前職の経験を活かして貢献できることを志望動機にする
経験者の場合
経験者の場合は、何年の経験があるのか、どんな業務を行ってきたのかを具体的に書いたうえで、貢献できるとアピールしましょう。
- これまでの勤務経験からどう貢献できるか(具体的に!)
家から近い場合
意外ですがパートさんの場合「家から近い」も志望動機としてはアリです。
事務所側にとっても良い点があることをアピールしましょう
【書類選考】自己PR ※例文あり
税理試験にチャレンジする=意欲ありと判断されるのは、職員さんだけではありません。だから、もし税理士試験にチャレンジする予定があればその点は自己PRに組み込んでおきましょう。
ここではその点以外の自己PR例文をご紹介します。
未経験者の場合
採用者がもつ未経験者の方に対する不安No.1は、専門職のこの業界に飛び込んで長く働いてくれるかどうかです。
経験者の場合
採用者は経験者からの応募があった場合、即戦力だ!との期待がある反面で「前の事務所での変なクセがあったらどうしよう」とも考えています。
自己PRに事務所ルールを順守する素直さを盛り込むのがとっても有用ですよ。
【面接】服装
男性も女性もスーツが絶対無難です。
まれに服装自由な事務所もありますが、だからといって初対面の面接でジーンズで行くことはオススメしません。
無難にスーツで挑みましょう!
【面接】筆記試験
全体的に数は多くありませんが、まれに筆記試験を課す事務所もあります。
だいたいは「仕訳を切ってください」という内容の簡単な仕訳問題です。
基本的には簿記3級レベルで、経験者向けに少し実務寄りの仕訳問題にゃん
出題されるであろうポイントはいくつかに絞れますので、筆記試験に備えて少し予習をしておいてくださいね。
- 収入印紙600円分を現金で購入した。
- 切手1,000円分を現金で購入した。
- (給与明細書が添えられていて)月末に給与を普通預金から支払った。
- 業務用プリンター44万円を購入し、普通預金から支払った
- 【個人事業主】普通預金に受取利息10円が入金された
会計事務所でパート・アルバイトとして働くこと まとめ
会計事務所でパート・アルバイトと働くことを、実際の現場にいるめいじの視点からまとめました。
メリット、デメリットから仕事内容、時給まで会計事務所の本当の実情です。それに加えて実際に応募する際の志望動機や自己PRのポイントもあますことなくお伝えしました。
専門職だからか、会計事務所でのお仕事はとかく「大変だ」とか「つらい」とかのイメージをもたれがちですが、実はそんなことはなく一般的な事務のパートと大きく違いません。
メリットも多い会計事務所でのパート勤務、あなたの選択肢の一助となりますよう願っています。
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