「税理士ってオワコン」「いずれ税理士業務はなくなる」そんな話を聞いたことありませんか。
めいじが初めてそんな話を聞いてからすでに数年が経ちました。

税理士がオワコンなら、税理士補助である職員さんは絶滅しちゃうのかな?

職員さんの業務はすべてAIに取られちゃうってホント?
そんな心配をしていませんか?
会計事務所(税理士事務所)で働くスタッフのことを言います。
職種としては「税理士補助」と呼ばれることが多いですが、このサイトではサイト名でもある「職員さん」で統一しています。
経理、記帳代行業務のAI浸透を今も間近で見ているめいじが、税理士オワコン説を検証します。
まぁ、結論を言うと税理士業務はオワコンではありませんし、職員さんも絶滅しませんよ!
- 職員さんが絶滅しないか心配な人
- これから職員さんとして入職しても大丈夫なのか不安な人
- AI化が進むなか、これからも職員さんとして働いていけるか心配な人
ただ、時代の流れとともに仕事の仕方に変化が生じているのは事実で、ついて来られない古風な税理士事務所は淘汰されてしまうかも……とは思います。

ふた昔前(20年とか前)も会計ソフトが普及したら「職員さんはいなくなる」とウワサされていました。今と一緒だね。
紙での帳簿を作っていた時代には今よりもっともっと人手が必要だったんでしょうね。
会計ソフト普及が促進されているときは「簿記を知らなくても帳簿が作れる」という触れ込みでした。
でも、2025年現在 職員さんの仕事はなくなっていないし、簿記資格の人気は相変わらずです。
- 会計事務所業界に勤めて干支ひとまわり以上の「中の人」
- 子どもが幼児のときに会計事務所業界に入った転職組(育児で頼れる人はおらずワンオペ育児を全力突破した)
- 巡った会計事務所は老舗から新規開業までさまざま。ブラック、ホワイト事務所も両方経験(ブラックは早々に逃げ出した)
- 所長を軸に考えると公認会計士、女性所長、2代目所長など個性豊かな所長と仕事してきた。
- 基本、残業をしないスタイルを貫きとおす(今も)
- 今では法人・個人・資産税(相続)全てをこなすマルチプレーヤーお局さん
- お客様を事務所に呼び出すことで人気を博す。通称:呼び出しのめいじ
- 移動時間をコストと考え、可能な限りコスパの良い仕事方法を常に考えている(残業したくない…)
AI(人工知能による自律的判断)の台頭でオワコン?

税理士、あるいは税理士補助である職員さんがオワコンと言われる原因のほとんどがこれによるものでしょう。
「経理業務はAIに取って代わられる。税務申告ですら全自動になる時代がくる」
そう言われています。
「取って代わられる」なんて表現がまるでAIってやつが悪のようです(笑)
いやいやAIは悪いものじゃありませんよ。
これまでやってきた記帳代行の「手作業」部分をかなり削減してくれます。
具体的にいうと…
これまで:クレジットカード明細を会計ソフトに手入力20分 +チェック15分 →35分
自動化後:クレジットカード明細を会計ソフトに読み込み1分+チェック15分 →16分
削減時間:19分(AIが学習をしていくと、チェック時間はどんどん短くなる)
こんなイメージです。

作業時間(アナログ業務)が短くなるのはいいことにゃ
ITに強い税理士(事務所)はどんどん強くなるでしょう。
だって、アナログ業務が減ったなら同じ人員で今の2倍、3倍と顧問先を増やせるんですから。
さて削減できたこの時間をどう有効活用するか、それが税理士や職員さんの腕の見せどころ。
これはまたいずれ記事にしたいと思います。
AIが完璧に記帳できるようになったら職員さんは絶滅?

結論から言っちゃうと、AIからの自動記帳で完璧な帳簿がつけられるようには、絶対になりません。
2025年の現時点で全自動は無理。あと数年かけてもきっと難しいでしょう。
だから職員さんは絶滅しないのです。

読み込むだけで帳簿が完成!完璧に仕上がる!…というのはまだ夢物語
AIで入力作業はかなり削減できるけれど、人間によるチェックはなくならない。これが絶対的な結論です。
特に消費税はインボイス制度がスタートして、なおさら人間の目でのチェックが必要不可欠になっています。
それに税務は総合判断が必要な場面も多いのです。
職員さんがA結論かB結論か迷ったら、
自分で考え、
エビデンスを集め、
どう処理するか所長に報・連・相。
この作業はAIにできないでしょう?
ましてや所長(税理士)の代わりに総合判断を下す……なんてことは絶対無理
税務の結果は人(お客様、税務署)がみます。
「どうしてこういう処理をしたんですか?」と聞かれて、「AIがそう判断したから」で通用する世界になったら……そのときこそ税理士・職員さんは本当にお払い箱かも。

車の自動運転以上に難しい技術だと思います。
中小企業の減少でオワコン?

日本の中小企業は長期的にみると減少傾向にあると言われています。
税理士の顧客の大半が中小企業なので、中小企業が少なくなればオワコンだという説明ですね。
これもまた力技すぎる説明です。
中小企業においては、意外と税理士に頼まず自分で申告をしている会社さんも意外と多い!
今までは会計ソフトさえ導入していれば、申告書もなんとか作れたんですよね。

今の会計ソフトはすでに優秀すぎるレベル
しかし、昨今の税務大改正オンパレード、税務の複雑化もろもろで「もう自分では無理!」となっている経営者も多いと感じます。

実際、インボイス制度が「もうすぐ始まる」って時期に相談に来た方・顧問契約した方は本当に多い!
そして中小企業の経営者パートナーとなりえるのも会計事務所だけと言っても過言ではありません。
自分の懐(お金)事情について全て知っている相手ってほとんどいませんよね
経営にしろ、お金にしろ、不安なことを話せる相手は会計事務所だけかもしれません。

経営者の身近な存在としては銀行さんもいるよね。
もちろん銀行さんも味方ですが、ちょっと目線が違うみたい
税理士の過当競争でオワコン?

これもよく言われています。
「税理士は年々増えている」だから価格競争、過当競争が起きているから税理士はオワコンなんだという論調ですね。
確かに税理士の登録者数は年々増えています。
平成2(1990)年度 | 57,073人 |
平成12(2000)年度 | 65,144人 |
平成22(2010)年度 | 72,039人 |
令和2(2020)年度 | 79,404人 |
注:「登録者数」は、年度末の人数であり、日本税理士会連合会調べによる。
そして今!!
税理士の登録者数は、全国で80,495人(令和5年7月末時点)
会名 | 登録者数 | 税理士法人届け出数 | |
---|---|---|---|
主たる事務所 | 従たる事務所 | ||
東京 | 24,036 | 1,466 | 541 |
東京地方 | 5,072 | 255 | 185 |
~省略~ | |||
計 | 80,495 | 4,907 | 2,695 |

確かに税理士の登録者数はずっと右肩上がり
「税理士格安」とか「税理士 安い 〇〇(地名)」で検索すれば、格安報酬をウリにしている税理士さんがたくさん出てきますし、ココナラなどを見てもお安い値段設定をしている税理士さんもいます。
ではやっぱり本当に価格競争が激化しているのか!?
答えは「NO」です。
今の税理士事務所は「個性の出し方」にバリエーションが増えているだけ
- 格安をウリにしている(ただし小規模の事業者に限っている)税理士
- 資産税をウリにする税理士
- 経営のコンサルティングをウリにする税理士(記帳代行などは一切しないことすらある)
- 昔ながらの記帳代行をメインにする税理士
格安をウリにする事務所は広告を上手に出しているケースが多いなと思いますが、目につくからと言って過当競争にさらされているわけではありませんよ。
ちなみに職員さん目線で言えば、
格安税理士さんや、経営コンサルに力を入れる(所長ひとり)事務所では職員さんは不要でしょう。

残念ながら入職は難しい……
資産税や記帳代行を行う事務所、幅広く経営コンサルに力を入れる事務所では職員さんが必ず必要

職員さんの転職先としてはこういう事務所を狙うことになるね
税理士事務所全体としては記帳代行を行う事務所が多い現状では、職員さんが絶滅するなんてことは絶対ありませんよ。
税理士業務オワコン説のまとめ:オワコンではないが、変化は必要

税理士業務オワコン(職員さん絶滅)説について検証してきました。
法人個人問わず、お商売をするならば経理と税務は絶対ついてまわることになります。

社長がどんなに忙しくても、めんどくさくても、
申告しないという判断はありませんよね?
そういった意味で税理士業務がオワコンにならない下地があるのです。
「AIによってなくなる仕事」筆頭の経理・記帳業務は、オワコン説の確かな証拠として言われがちです。
でもAIというものは、税理士・職員さんのライバルではなく上手に使うべきものです。
記帳という作業において「手作業でミスする人間」「ミスしないAI」ならAIを使わない手はないと考えるべきでしょう。
AIによる自動記帳が一般的になる。
でも最終チェックは人間の目と手が絶対必要。
税理士や職員さんはお客様を始めとした対人関係に注力していく
結局人に寄り添えるのは人だけなのです。
今までも、そしてこれからもまだまだ税理士業界・職員さんは必要とされています。
だから皆さんにもどんどん目指して欲しい!
会計事務所で働く職員さんを心から応援しています!
今日はここまで
またね~
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